ひとくちに「旦那様の転職話」と言っても、パッと出てくるだけでこんなにも違う悩みが出てきます。
しかし、「最初の悩み方」が違っても、最終的に転職をする・しないどちらにも共通で確認すべきことがあり、それが成否を分けると言っても過言ではありません。
今回ご紹介する記事は、「キャリアコンサルタント資格」を持って、10年以上就職・転職支援に携わり、自分の夫も「脱サラ」した筆者が、特に気合を入れてご紹介します!
目次
実際のところ、どれくらいの旦那さんが転職成功しているの?
厚生労働省が毎年行っている「労働調査」平成30年度版によると、過去1年間の転職経験者として、329万人が集計されています。
このうち、「就業者だった男性」に絞ると、152万人になります。
ちなみに、2018年の雇用者数平均は5596万人(役員を除く)。このうち正規の職員・従業員は3476万人です。
正規雇用者全体からの割合としては、4.3%の方が、2018年に転職をしたということになります。
思っていたよりも多いと思われる方も、少ないと思われる方もいらっしゃるとは思いますが、この内訳を「年齢別」にピックアップすると、さらに実情がわかってきます。
「就業者だった男性」152万人を年代別に分けると、確かに 25~34歳の方が24.5%といちばん多くなりますが、 35~44歳も17.21%、 45~54歳で12.58%と、決して少なくない人数の方が転職を経験しています。
転職と言えば「35歳くらいまでの、若い人がするもの」と思っていませんか?
「あなたの夫」がいつ、「転職」に関わることになっても、不思議ではありません。
転職の決断は、夫に任せるべき?妻も関わるべき?
家族にとって、妻にとって、「夫の仕事」をどのように位置づけていますか?
夫の収入が家族を養う重要な要素なのだから、妻は意思決定に強く関わるべき!
と考える方もいれば、
仕事を実際にするのは本人。妻はそこに口出しすべきではない。
と考える方もいらっしゃいます。
この、どちらの考え方もある意味正しく、そして間違っている可能性があります。
転職において、「べき」論はあまり意味がありません。
その方の状況や社会情勢、希望されていることなど、さまざまな背景によって、どちらもあり得るからです。
もしも、これを読んでいる奥様が上記どちらかのご意見について、「どんな状況であっても、絶対にこっちだと思う!」と考えておられるなら、ご主人への上手なサポートは難しいものになってしまうかもしれません。
「どんなシチュエーションなら、どんな支援をすることが夫と家族、全員が幸せになれる転職になるんだろう?」と想像してみることからはじめましょう!
「夫が突然転職したいと言い出した」そのとき妻はどうする?
まずはこちら、「夫が突然転職したいと言い出した」からシミュレーションしてみましょう!
企業から成功報酬受け取ることで、転職希望者に企業を紹介し、転職活動のサポートをする企業を一般的に「転職エージェント」と呼びます。
これらの転職エージェントで、転職者と面談をし、就職支援をするスタッフ、「キャリアアドバイザー」「転職カウンセラー」と呼ばれる人たちが、内定後に警戒することがあります。
それが「嫁ブロック」。嫁ブロックという言葉からイメージする通り、「内定は出て本人は転職意欲が高かったが、嫁の強い反対にあって成約に至らなかった」という意味です。
このシチュエーションの「最大の問題」が、ご主人の「転職先を決めてから家族に相談したらいい!」という判断です。
もしも、これを読んでいるのが「転職したいご主人」だとしたら、「転職先を決めてから報告した方が良いだろう」と考えることだけは止めましょう。
「そんな大切なことを、何も相談せずに決めるなんて!」というマイナスの感情しか起こりません。
そして奥様は、ご主人が「良かれと思って」まずは行動したのだと考えてください。
この部分で感情的になってしまうと、転職をするにしてもしないにしても、お互いに悪いイメージしか残りません。
「夫が転職したい理由」に納得いかない。そのとき妻はどうする?
- 「キャリアアップしたい」
- 「お給料を増やしたい・自由に使えるお金が欲しい」
- 「希望する勤務地で働きたい」
- 「ワーク・ライフバランスを整えたい」
さまざまな転職理由がありますが、実は大きな理由に
「職場の人間関係」が隠れているケースが少なくありません。
「そんなことで転職しようと思っているの!?」と奥様に言われるのが怖くて、本当の理由を言い出せない、という旦那様も少なからずいらっしゃいます。しかし、職場の人間関係の悩みは最悪の場合「うつ」などの病気にもつながる重大な事柄です。すぐに言い出せないケースもあります。
焦らず、時間をかけて話しやすくなる環境を整えてあげましょう。
「夫に転職してほしい!」そのとき妻はどうする?
- パワハラ上司の対応やノルマでストレスが強い気がする
- 今後の生活を考えると、もっと収入を増やしてほしい
- 休日出勤や残業が多く、体力的に心配
こんな旦那様に、「転職してほしい!」と考える奥様も少なくありません。
この場合難しいのが、以下のような旦那様です。それぞれのケースで「夫を動かすひとこと」をまとめました!
※職場の人間関係が良好だったり、収入面での不安を妻ほど感じていない。
「あなたの職場の40代とか、50代の先輩って、どんなご家族の方が多いの?」
→現状に満足している方でも、それは「今」のことだけかもしれません。
10年後、20年後の自分を想像することで、「今」逆算して何をすべきか考えるきっかけを提供してあげましょう。
※「仕事とは、こういうものだ。転職しても変わらないのでは?と思っている
「あなたのことが心配なんだけど。手伝えることは手伝うし、これだけ頑張れるなら、ほかのところならもっと評価されるんじゃない?」
→「良いことが起こりそう」「そこまで手間暇をかけずにできそう」と思ってもらえるアプローチを心がけましょう。
※就職氷河期に就活をし、今の会社に入社するのにとても苦労をされた方に多い。
「氷河期世代が、今求められているらしいよ?」
→2000年4月に入社した就職活動氷河期のピークの方も、いまはすっかり社会人。その当時の「面接の記憶」はあまり良い印象を持たない方も少なくありません。そのころからの環境の変化についての新聞記事やネット記事などを集め、「今は環境が大きく変わったよ!」と教えてあげましょう。
※特に、ご自身が今の会社が「普通だ」と思っている場合
→転職に対して前向きでない方に、細かい求人情報をチェックしてみるように伝えてもなかなかやる気になりません。まずは転職を勧めたい奥様が、
・勤務地
・仕事内容(まずは現職の知識が活用できそうなものから)
・給与&福利厚生
・勤務時間
など、旦那様が「今よりもいいね」と感じるのではないか?と思う求人情報を転職サイトやハローワークHPをチェックしながらピックアップしてみてはいかがでしょうか。
そのとき、「絶対この会社を受けて!」などと迫ってはいけません。あくまでも、「気になるところが合ったら教えてね」程度のスタンスで伝えましょう。
「夫が転職を繰り返す」そのとき妻はどうする?
基本的には「ご主人の意思を尊重する」ことを大切にしている奥様でも、悩んでしまうのが転職を繰り返し、「ジョブホッパー」と呼ばれる状態に陥ってしまうご主人についてです。
基本的に給与は、勤続年数に比例して上がっていく体系の企業が少なくありません。世間として評価される知識や経験・資格などをもたないまま、さまざまな仕事を転々とする場合、新卒と同じような扱いのまま30代、40代を迎えてしまうリスクがあります。
「次こそ自分の力を発揮できる会社が見つかるのでは」という希望を持ちたい、という気持ちは理解しつつ、最低限の条件を「今の会社よりも条件のいい会社の転職の内定が出てから、辞める」に設定しましょう。
これまで「辞めてからでもすぐに転職先を見つけてきた。貯金もあるし大丈夫!」という自信のあるご主人でも、年齢を重ねれば難しくなるのが現実です。そのタイミングがいつ来るかはわかりません。雇用環境によっても変化するからです。
転職したい旦那様に伝えてほしいおすすめのひとこと
「そうなんだ。相談してくれてありがとう。」
→転職について賛成か・反対かの判断がとっさに付かない時、本人自体もまだ迷っているときは、「相談や報告をしている」こと自体を褒めてください。今後のスムーズな意思疎通につながります。
もしも、「最初のタイミングで思わず反対って言っちゃった…」なら、後からでも「あのときはびっくりしちゃってごめんね。」と今後は冷静に、落ち着いて対応する姿勢を見せてあげましょう。
「誰か、経験者の先輩とか、相談できる人はいる?」
現状になにかしらの不満があるからこそ、転職を考えているわけです。不満が強ければ強いほど、視野が狭くなりがちなのは転職の場面に限りません。家族以外にも、「客観的な視点」を伝えてくれる人の存在があるか確認しておきましょう。
「大事な話だと思うから、まずは理由とか、これからどうしたいかとかしっかり教えてくれる?」
素直に「転職したい理由」を話してくれるケースばかりではありません。転職活動を実際に進める中で、当初の「目的」からそれてしまうことは多々あります。定期的に確認することで、本人の意志を確かめましょう。
転職したい旦那様にストレスを感じてしまう奥様へ
- 自分勝手なことばっかり!
- なに言ってるの?
- どうせやるだけ無駄だって。
- なんでわざわざそんなことをするの?
- 家計のことなんて何も考えてないんでしょ!?
- そんな勝手なことするなら、離婚するから!
誰であっても、「変化」の前にはストレスを感じてしまうことがあります。そのストレスから、これらの言葉をつい口にしてしまうこと、ありますよね。
もしも、「つい言ってしまった…」という言葉があれば、「あのときはよくないことを言ってしまってごめんなさい。」と素直に伝えてあげてくださいね。
旦那さまの転職を応援するなら知っておくべきこと
いよいよ夫婦一丸となって、旦那さまの転職を応援する!ことになったときに、夫婦そろって知っておきたい最低限の転職知識をご紹介します!
転職の一般的な手法
転職先を見つけるためにはさまざまなルートがあります。
ハローワーク
公的機関であるハローワークは、求人情報の掲載に費用がかかりません。そのため、企業規模も職種もさまざまです。人気の求人はあっという間に採用が決まってしまいますが、「1名だけ採用したい」といった穴場情報を見つけられたりします。また、都心部以外の地方では今でもメインとなる求人媒体です。
転職サイトの求人情報
有名転職サイトは常に多数の求人広告が掲載されています。ただし、掲載には費用がかかるため、募集人数が多い企業など、ある程度片寄りがあります。しかし、比較検討が簡単などメリットも豊富なので、ひとつは登録しておくとよいでしょう。
転職エージェントからの紹介
職務経歴書の添削を受けられたり、面接日時や入社の条件交渉を代行してくれるなどのメリットがある転職エージェント。ただし、企業は成功報酬で内定者の年収の30%程度を支払う必要があります。内定のハードルが多少高くなるリスクがあるうえ、エージェントのアドバイザーとの相性が悪いとメリットも活かせないケースがあることに注意です。
googleで直接検索
最近注目の求人情報のチェック手法です。googleの検索窓に、
- 「求人」というワード
- 勤務地
- 業種や職種
など、気になる条件を入れると、それに当てはまる求人情報を、転職サイトや企業の採用情報ページからピックアップして表示してくれる「Google しごと検索」機能が 2019年1月からスタートしました。
地方都市など、転職サイトではピンポイントに検索しにくいエリアも対応できます。
新聞の求人広告
求人数は少ないですが、「今すぐ転職を希望していないが、良い会社があれば前向きに考えても良い」という方に向けて、「良い方が欲しい」という優良企業や公的団体などが、日本経済新聞日曜版に求人広告を出稿します。特に、都心部にお勤め「上を目指した転職をしたい」方はチェックしてみてください。
企業ホームページの採用情報
「求人広告を出して大量に応募してもらいたいとは考えていないが、良い方がいれば対応する」という会社の場合、ホームページの採用情報だけで求人情報を公開しているケースがあります。「地元の優良企業」などをピックアップし、直接情報収集する方法もオススメです。
知人からの紹介
福利厚生や給与、残業の有無などは実際に社員に聞かないと正確なところは把握するのが難しいという難点があります。
友人・知人に、「この会社は働く場所としていいところだよ」と感じる会社とその理由をリサーチしてみましょう。思わぬ発見があるかもしれません。
転職スケジュールの王道
応募先企業を決めるまでの期間は、人によって大きく異なります。場合によっては、希望の求人が出るまで数ヶ月~数年待った、という方もいらっしゃるくらいです。
応募先企業を決定し、エントリーしたり応募書類を送付してから、内定し働き始めるまでの「最短の目安」は2ヶ月です。
企業によって締め切りが異なるため、あくまでも目安ですが「数日~1ヶ月以内」
「円満に業務を引き継ぎたい」旨を会社と相談して入社日を決定したら、その入社日を変更するようなことがないよう注意してください。
妻がサポートできること
一般的な転職に関する知識を共有したら、忙しい旦那様に代わって「情報収集」や「職務経歴書の作成」といった、時間のかかる部分をお手伝いしましょう。
特に、奥様も企業情報の収集をしておくと、「最終的に転職を決めるかどうか」の決断の場面でサポートしやすくなります。
また、現職アリの方は、面接など就職活動に取られる時間の確保が大きな課題です。時間の捻出ができるよう、旦那様の家事や育児などの負担を軽くするなど協力しましょう。
転職の成否を決めるのは、綿密な情報収集と素早い行動
転職先に内定が出たら、それがゴールではありません。転職先でまた新しく実績と信頼を積み重ねていかなくてはなりません。
最終的に、「この転職は正解だったね」と言えるようになるためには、夫婦間での意思疎通を支える綿密な情報収集と素早い行動が必要不可欠です。
もちろん、「妻が転職を考えている」ケースでも同じことが言えます。